朝鮮王朝の清廉潔白を崇める美意識を象徴した造形美の極致と云われる白磁丸壺です。 李朝中期の白磁は胎土の質、厚い施釉、低めの焼成により独特のまったりとした乳白色の肌が生み出され、堅緻な胎土でない為に高台や胴部にしばしば亀裂が入り、使用による染み(雨漏り)が生じた物も見られます。大きさも30cmを超えており、 弊店が自信を持ってお勧めさせて頂きたい名品です。
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- 商品コード
- 241213-3
- 時代
- 朝鮮時代
18世紀
- 重量
- 3,980g
- 胴径
- 31.6cm
- 口径
- 13.7cm
- 高さ
- 34.1cm
- 底径
- 13.3cm
- 次第
- 桐箱
- 来歴
- 繭山龍泉堂
- 状態
- 口縁に3箇所、共直しがあります
底に欠けがあります
完成度の高い白磁を焼成していた李朝初期の技術が金沙里窯に引き継がれ、
李朝中期を境に灰白色の白磁が急速に乳白色へと変化します。
李朝中期の白磁は四季によって表情が違って見えるばかりでなく、
受け手の心によっても変貌するように感じます。
悲しみに満ちている時には慰めとなり、
喜びの時には語り合う友のような役割を果たしてくれます。
有機的で生命の揺らぎを秘めた柔らかな曲線です。
一対の鉢状の部材を上下向かい合わせに繋ぐ「胴継ぎ」の技法で制作されています。
釉薬が溶け切れていない部分は温かみある仄かな御本(淡紅色の斑文)を帯びており、
光を吸収する柔らかな肌合いに李朝白磁の真髄とも云える魅力が溢れています。
口縁には淡紅色の御本に合わせた高度な共直しが施されています。
繭山龍泉堂さんのお取り扱いとなる由緒ある来歴です。
李朝
李氏朝鮮とは1392年に李成桂が朝鮮半島に建国した朝鮮最後の統一王朝です。
国号は李成桂が明国王に認知を求め、1393年に採択した経緯があります。
「李朝」の呼称は日本において定着し、長く用いられています。
高麗時代の仏教が衰え、抑仏崇儒政策が推し進められると、
儒教の精神は人々の生活の規範として深く浸透し、
清廉潔白を崇め、醇朴で倹素な気風を養う事が理念とされました。
儒教の普及と共に祭祀も宮廷から一般庶民に至るまで盛大に行われ、
「白」は神聖と簡素を旨とする清浄無垢な色として祭器においても白磁が珍重されました。
白磁を母体に染付、鉄砂、辰砂等の装飾が生まれていきますが、
節用を重んじた体制下では最後まで色絵が焼成される事はありませんでした。
日清戦争(1894~1895)後の1897年に国号を「大韓」と改称しました。
日露戦争(1904~1905)後は日本の保護国となり、1910年の韓国併合で滅亡しました。
李朝陶磁への深い理解と愛情を持ち、社会的に広く認識させる力を発揮したのは、
浅川伯教と巧の兄弟であり、その兄弟の手引きによって心を傾けていったのは柳宗悦でした。
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李朝白磁
温和な表情に静寂な雰囲気を漂わせる李朝白磁は東洋陶磁の極地です。
朝鮮王朝の為政者は白磁への関心が強く、
王家や官庁の御器にも清廉潔白を尊ぶ儒教精神と共に深く根付いていきました。
「白衣民族」として清楚で慈愛に満ちた美しい白色を愛し、
硬い灰白色、失透性の乳白色、青白色、千差万別の白に多様性があります。