古染付の中でも白眉に数えられる網目文の名品です。網には願いを成就させる(絡め取る)という意味があり、願いがこぼれ落ちないように表面全体を途切れなく覆い尽くしています。「魚」は「余」と同音で余裕や豊かを寓意し、網と魚で「一網打尽に豊かさを掴み取る」という吉祥文様です。日本の茶人からの特別注文品であり、約400年間に亘り、多くの人々を魅了し続けています。胴部には明時代の特色とも云える「胴継ぎ」が2箇所確認できます。
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- 商品コード
- 230903-12
- 時代
- 明時代末期
17世紀前半
- 重量
- 372g
- 胴径
- 8.4cm
- 口径
- 2.7cm
- 高さ
- 17.7cm
- 底径
- 6.1cm
- 次第
- 張込箱を作成
- 容量
- 約480ml
- 状態
- 口縁に入と金直しがあります
地肌や染付の発色、焼き上がりも理想的です。
古染付
古染付とは明時代末期の天啓年間(1621~27)を中心に景徳鎮民窯で焼成された染付です。
特に日本向けの作品で遺例も日本に多いです。
新渡りと呼ばれる清時代の染付に対し、古式に属する古渡りの染付との意味合いで、
独特の様式を持つ一群が「古染付」と独立して呼ばれるようになりました。
日本の茶人からの注文品である茶陶と日用品とに大別されており、
茶陶としての古染付は日本人に親しまれた陶胎の厚さに因んでか総体に肉取りが厚いです。
明時代末期頃は日本の茶人が新奇な茶道具を注文焼成させる風潮が盛んであった時期で、
其々に好みの茶道具が発注されました。
古染付の多くは素地と釉薬の収縮率の相違から釉薬が剥落して胎土を露しています。
まるで虫が喰ったように見えるその様子からこの現象を「虫喰」と呼びます。
口縁や角部等の釉薬が薄く掛かった所に虫喰が多く見られるのも特徴の一つです。
通常の焼物としては欠点対象にさえ成り得るものですが、
茶人はここに自然の雅味を見出して喜び、粗笨な味わいを美的効果として評価しました。