ルネ・ラリック
Rene Lalique
ルネ・ラリック 1860年~1945年
ルネ・ラリックはフランス・シャンパーニュ地方のアイという小さな村に生まれました。
1876年、パリの装飾美術学校に入学し、宝飾工芸家で金細工師のルイ・オーコックに師事しました。
金細工や装飾の技術を習い、夜はパリの装飾美術学校で学びました。
1878年から1880年までイギリスに滞在し、サイデナム・カレッジで学びました。
1882年頃からフリーランスの金細工師、宝飾デザイナー、グラフィック・アーティストとして活動し、
1885年にはパリのヴァンドーム広場にアトリエを構えるまでになりました。
この頃は主に女性向けの高級アクセサリーをデザインし、
カルティエなどの著名な宝飾店にも作品を提供していました。
フランスの国際的な大女優であるサラ・ベルナールも顧客の一人であり、
文化人のサポートも重なって制作活動は軌道に乗ります。
1892年頃から宝飾品の素材の一部にガラスを取り入れていましたが、
本格的にガラス工芸の道へと進んだのは、
ファッションの流行がボリュームのある服装からシンプルなラインを強調するスタイルに移り、
派手な装飾がある宝飾品の需要が減少した為です。
1897年、レジオンドヌール勲章を受章しました。
1900年、パリ万国博覧会で斬新なジュエリーが大きな注目を集めて名声を得ました。
1905年頃を境にラリックのジュエリーは人気が凋落し、
評論家達は手のひらを返したように悪評を浴びせ掛けました。
1908年、コティの注文で香水瓶とラベルのデザインを手掛けました。
優美なデザインの瓶に香水を詰めて販売する事は斬新な試みでした。
パリ東方のコン・ラ・ヴィルにあったガラス工場を借り(後に購入)、
本格的にガラス工芸品の生産を始めました。
1912年、宝飾品の展示会を開いた後、ガラス工芸品の製造に専念するようになります。
香水瓶、花瓶、置時計、テーブルウェア、アクセサリー等を手掛け、
1920年代頃からはガラスで再び人気作家の地位を取り戻します。
1918年にアルザス地方のヴァンジャン・シュル・モデールに新たな工場の建設を始め、
1922年頃に完成しました。
1920年代から1930年代のラリックは豪華客船やオリエント急行の室内装飾を担当し、
レストラン、ホテル、邸宅等の装飾、ステンドグラス、噴水等、様々な分野に活躍の場を広げます。
シボレー、ジャガー、ロールス・ロイス等のカーマスコットも多数あります。
芸術性を追求した装飾性が高いアール・ヌーヴォーと、
時流に沿ったシンプルな幾何学的構成のアール・デコの一翼を担いました。