呉須赤絵牡丹文皿(明時代)
50,000円(税込)
濃厚な上絵付けにより牡丹文が洒脱に彩られています。奔放で飾らない作風は茶人の心を捉え、時代を越えて愛玩されてきました。時代箱に収められ、菓子鉢として伝世されてきた背景からも、器が実用と美を兼ね備えていた事が窺えます。
- 時代
- 明時代
17世紀前半
- 重量
- 460g
- 口径
- 21.9cm
- 高さ
- 4.8cm
- 底径
- 11.4cm
- 次第
- 時代箱
- 状態
- 口縁にノミホツが1箇所あります
見込みに窯傷が1箇所あります
やや灰色を呈した粗笨な地肌が侘び茶の美意識に寄り添っています。口縁のノミホツは軽微であり、無傷の範疇に収まるものです。

呉須赤絵
呉須赤絵とは明時代末期を中心に福建省南部の漳州窯で焼成された色絵磁器です。
その様式は景徳鎮民窯における古赤絵や金襴手の系譜を受け継ぎつつ、
そこから独自に展開されたものと捉えられています。
基本的に染付は下地に用いられず、乳白色の失透釉が内外に厚く施されています。
上絵付けは赤色を基調に緑や青色が加えられ、
時に荒々しささえも帯びる筆致には独特の風格が醸し出ています。
稀に赤玉文様の上に金箔を施した例も見られます。
焼き上がりは全体的にボテボテとした甘い作品が多く目立ちます。
砂を敷いて器物を焼成していた為、底部に砂が付着している点も特有の景です。
文様構成には「天下一」の文字銘やアラビア文字を描いた作品もあり、
東南アジアから日本を主商圏としていた背景が窺えます。
日本の茶人は玉取獅子鉢や魁手鉢を高く評価し、
その奔放さと異国趣味は、茶の湯の世界に新たな美意識を齎しました。






