Special Preview先行紹介
咲き誇る花唐草の中に対を成す孔雀が彩られた古赤絵の名品です。30cmを超える堂々たる大盤は卓越した鑑賞性を備え、空間を昇華させる華やぎと力が宿っています。孔雀の尾羽の広がりと色彩の妙は富貴と繁栄の象徴を示し、外縁まで連続する唐草文様は器全体に生命力と装飾美を添えています。青花(染付)を用いない自由奔放な構成は、官窯の精緻さとは異なる民窯ならではの大らかな美を体現しています。繭山龍泉堂の歴史と審美眼を示す、幻の図録「龍泉集芳」に記録された事は、作品の美術的価値と歴史的意義を確かなものとしています。古赤絵の美を映す、時代を超えて輝き続ける文化遺産です。
- 時代
- 明時代
16世紀
- 重量
- 1,360g
- 口径
- 31.1cm
- 高さ
- 6.9cm
- 底径
- 9.2cm
- 次第
- 桐箱
- 来歴
- 繭山龍泉堂
- 所載品
- 「龍泉集芳 第一集」、繭山龍泉堂、P302、No900
- 状態
- 口縁に入が1本あります
重厚かつ繊細な造形の緊張感、美麗な彩色、状態の良さと、一級品の条件を満たしています。

古赤絵
古赤絵とは明時代の正徳年間(1506-21)から嘉靖年間(1522-66)を中心に、
景徳鎮民窯で焼成された色絵磁器です。
明るい乳白色を呈した素地に濃厚で鮮やかな赤を主調とし、
緑、黄、稀に青色を加えて彩色されました。
基本的に青花(染付)は併用されません。
官窯のような精緻さには及ばないものの、自由奔放で大らかな趣に魅力があります。
器種は盤、皿、鉢、碗、合子等が中心で、壷や瓶は比較的少数です。
文様には花唐草、蓮池水禽、魚藻、孔雀牡丹、龍、鳳凰、人物文等が知られています。
国内向けの生産に留まらず、日本、東南アジア、中近東へも広く輸出されました。
在銘には「陳文顕造」、「陳守貴造」、「陳守劉造」、「何文白造」等があり、
陶工や工房主の名を示すものと推測されています。













