古格と品位を備えた粉引酒呑の優品です。柔らかな釉調には親水性があり、長年に亘る使用から生じた見事な濃淡の雨漏りは唯一無二の趣を醸し出しています。
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- 商品コード
- 250722-1
- 時代
- 朝鮮時代
15-16世紀
- 重量
- 119g
- 口径
- 10.4cm
- 高さ
- 4.7cm
- 底径
- 3.9cm
- 次第
- 仕覆
塗箱
- 来歴
- 「古美術 緑青 No10 ガラスの器 李朝の酒器 琉球漆器」、マリア書房、P76、所載品
- 状態
- 口縁に入が3本、金直しが3箇所あります
李朝
李氏朝鮮とは1392年に李成桂が朝鮮半島に建国した朝鮮最後の統一王朝です。
国号は李成桂が明国王に認知を求め、1393年に採択した経緯があります。
「李朝」の呼称は日本において定着し、長く用いられています。
高麗時代の仏教が衰え、抑仏崇儒政策が推し進められると、
儒教の精神は人々の生活の規範として深く浸透し、
清廉潔白を崇め、醇朴で倹素な気風を養う事が理念とされました。
儒教の普及と共に祭祀も宮廷から一般庶民に至るまで盛大に行われ、
「白」は神聖と簡素を旨とする清浄無垢な色として祭器においても白磁が珍重されました。
白磁を母体に染付、鉄砂、辰砂等の装飾が生まれていきますが、
節用を重んじた体制下では最後まで色絵が焼成される事はありませんでした。
日清戦争(1894~1895)後の1897年に国号を「大韓」と改称しました。
日露戦争(1904~1905)後は日本の保護国となり、1910年の韓国併合で滅亡しました。
李朝陶磁への深い理解と愛情を持ち、社会的に広く認識させる力を発揮したのは、
浅川伯教と巧の兄弟であり、その兄弟の手引きによって心を傾けていったのは柳宗悦でした。
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粉引
粉引(粉吹)とは鉄分の多い素地に白泥を浸し掛け、総体に透明釉を掛けて焼成した粉青沙器です。
15-16世紀を中心に焼成されました。
無地刷毛目とは異なり、高台やその周辺も含めて全面が白泥で覆われており、
表面の柔和な釉調があたかも粉を引いた(吹いた)様に見える事からの名称です。
永年使用によって生じた「雨漏」と呼ばれる独特の染みや斑は日本において賞玩されており、
白泥が切れて素地が現れた「火間」は見所の一つです。
茶碗、お預け徳利、ぐい呑みは垂涎の的として珍重されています。
「三好(三井記念美術館所蔵)」、「松平(畠山記念館所蔵)」、「楚白(石川県立美術館所蔵)」は、
名碗として名高いです。