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 天平堂

令和8年7月25日、私たちは
福岡・博多から東京・銀座へ拠点を移し、
新たに歩みを進めることとなりました。

長年にわたり博多で賜りましたご厚情に
深く感謝申し上げるとともに、
銀座にて、より静謐で上質な美の世界を
ご案内してまいります。

天平堂

Message from the Director

ご挨拶

令和八年七月、私たちは福岡・博多から東京・銀座へ拠点を移し、新たな歩みを進めることとなりました。長年にわたり博多で賜りましたご厚情に深く感謝申し上げるとともに、銀座にて、より静謐で上質な美の世界をご案内してまいります。

博多での歳月は、私たちにとって出会いと成長の連続であり、多くのご縁に支えられながら、美術商としての礎を築いた大切な時間でした。その精神を受け継ぎつつ、銀座では一点物の美と真摯に向き合うための予約制による特別な空間をご用意しております。作品に宿る物語を丁寧に紐解き、お客様お一人おひとりと静かに向き合うこと。それが天平堂の変わらぬ姿勢であり、その理念をより深く、より洗練された形でお届けできるよう努めてまいります。

これからも、皆様の心に寄り添う美との出会いをお手伝いできれば幸いです。今後とも変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

Takashi.Imabayashi

GINZA TENPYODO今林 崇Takashi Imabayashi

歩みの原点

幼い頃から、私はいつも父の背中を見て育ちました。美術品に向き合う父の姿勢は、私を自然とこの道へ導く原点となりました。古美術の仕事は外見の印象に反して体力を要し、繊細な作品の運搬は手持ちが原則です。アートフェアでは、ブースの設営から撤収まで、相応の集中力と持久力が求められます。高校卒業後は大学へ進学しましたが、家業である天平堂を手伝うなかで、高齢の父の体力の衰えが徐々に見え始めました。その姿を前に、父を支えたいという想いが日ごとに強まり、19歳で本格的に父の仕事を手伝い始めました。経験も知識もないところからの船出ではありましたが、目の前の仕事に真摯に向き合うことだけを心に刻み、その積み重ねこそが何より大切であることを、身をもって学んだ時期でもあります。父から最初に教わったのは、業界の規範と作品の取り扱い方でした。接客の所作も含め、現場で父の背中を追いながら少しずつ身につけていったものばかりです。なかでも強く心に残っているのは、父の揺るがぬ精神力でした。いかなる局面においても動じることなく、常に冷静に構えるその姿には、言葉にできない安心感がありました。父は2018年に逝去いたしましたが、美術業界の礎から美術商としての在り方に至るまで、約二十年にわたり、計り知れない学びを授けてくれました。その教えは今も私の内に揺るぎない幹として息づき、日々の判断や作品との向き合い方を支えております。

作品との対話

審美眼を磨くうえで欠かせないのは、できる限り多くの作品に触れ、自らの目で確かめることです。実際に買ってみなければ分からないことも多く、手に入れた作品は身近に飾り、使いながら、その佇まいをじっくりと体感します。名品には独特の気韻が宿っており、確かな来歴をもつ作品を扱う経験を積み重ねることで、真贋を見極める力はおのずと深まっていくものだと実感しています。国内の大規模な会員制オークションでは、数千点に及ぶ出品作の中から、わずかな数点を選び抜くことになります。違和感なく心に響く作品を見極めるため、一点一点に特別な思いを込めて向き合っています。たとえ入手に至らなくとも、その挑戦が美術商としての糧となり、次なる歩みを確かなものへと導いてくれます。思い焦がれていた作品を手にしたときの喜びと、その作品にお客様が心から共鳴してくださる瞬間。その二つが重なったとき、古美術商としての醍醐味はひときわ深く胸に満ちわたります。AI(人工知能)が台頭し、便利さが加速度的に進む現代においてこそ、人の心を豊かにする“美しいもの”を受け渡していくことに、変わらぬ使命を感じています。それこそが、私がこの道を歩み続ける理由です。

天平堂の理念

「天平堂」という屋号は父が命名したもので、美が円熟を迎えた奈良時代・天平の世への情憬が込められていたのだと思います。美は心を豊かにし、日々の営みに静かな彩りをもたらしてくれるものです。蒐集において、心から愉しめるもの、純粋に美しいと感じられるものを選ぶことが何より大切であり、感性の合う美術商との出会いは、蒐集の歓びをより深いものとし、歩みを支える確かな指針となります。天平堂は、確かな鑑識眼を備えることを務めとし、心を躍らせる魅力を宿した作品や、感性に深く響く作品を丁寧に扱い、その出会いを皆様へとお届けしてまいります。「人と物」、「人と人」との一期一会を大切にし、文化と伝統を次の世代へと紡いでいく温かな場でありたいと願っています。