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 天平堂
天平の風(5)

天平の風(5)

2022年10月24日

本年の8月に弊店にて企画展を開催させて頂きました。
規模を縮小した催しであった事もあり、
スタッフを入れずに通常の体制で臨む事にしていたのですが、
妻がコロナワクチンの副作用が長引いてしまった為、
急遽、高校生の娘が手伝いに加わってくれました。

娘と二人だけでご接客に携わらせて頂く事は初めてという事もあり、
多少の不安はありましたが、
お越し頂きました優しいお客様方のご厚意に救われ、
事前の心配も杞憂に終わりました。

いつもお世話になっておりますご常連のお客様にもご来店賜りまして、
初対面となる娘に様々な為になるお話をして下さいました。
その中で、弊店の創業者である私の父・今林博が取り扱った箱書きのある作品を、
過去に間接的にご入手なされたというお話を伺い、
「もし美術にご興味があるのでしたら、ご祖父の思い出と共に大切に紡いで行って下さい」と、
その貴重な御品を後日、娘にお届け下さいました。

父から娘へとお客様を介したご縁を頂く事は初めての経験であり、
眼頭が熱くなると共に、
私達はお客様に育てて頂いているのだと改めて認識させて頂きました。

柿右衛門色絵牡丹唐草文皿

久々に見た懐かしい字。
父を思い出しながら、
時候のお菓子を載せて、娘と共に幸せな一服を頂きました。
心温まるお心遣いに御礼申し上げます。


「天平の風」は天平堂に関わって下さった方々に感謝を込めて少しずつ綴っていくコラムです。