長閑な風情が漂う現川焼の優品です。江戸中期における僅かな期間のみに制作され、現存数が少ない事から「幻の古陶」と称されています。轆轤で成形した丸皿を生乾きの間に型で合わせて隅切りの角皿にし、陶胎でありながら洗練された薄い造形は磁器を彷彿とさせます。表面は打刷毛目の技法で繰り返し白泥を打ち付け、鉄絵と銅緑釉(胆礬)で芦に泊船を彩っています。裏面は轆轤で皿を回転させて中央部分から刷毛を当て、幾重もの同心円状の筋目を描く渦刷毛目の技法が用いられています。京の優雅風流を留めた現川焼は「九州の仁清」という名に相応しい妙趣ある美です。
- 商品コード
- 221007-1
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- 時代
- 江戸中期
17世紀末期~18世紀前半
- 重量
- 約 278g
- 口径
- 約 16.2cm
- 高さ
- 約 4.2cm
- 底径
- 約 9.3cm
- 次第
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- 完品(無傷)
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- 完品(無傷)
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- E.
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- F.
- 完品(無傷)
表面に窯疵があります
¥250,000
- H.
- 縁に僅かな入があります
¥200,000
現川焼
現川焼とは肥前国彼杵郡矢上村(現:長崎市現川町)で焼成された陶磁器です。
別名を矢上焼といいます。
諫早家記録『日新記』には1691(元禄4)年に田中刑部左衛門が開窯したと伝えられます。
現川焼は素地のきめ細やかさに特徴があり、
陶器でありながら磁器を思わせる薄造りの作行は入念な水簸から生み出されます。
陶土を水甕に入れて攪拌すると細粉は浮いて粗粉は沈み、
この工程を繰り返し行う事によって微細な陶土が得られます。
素焼きを行う事で歪みをなくし、造形は種々の変化に富んでいます。
柿右衛門家に残る元禄元年頃の土型には刑部左衛門の息子達の名が記された物もあり、
器形は当時の洗練された有田・南川原山等の磁器を意識しているように推測され、
輪花形や鮑形等に成形したりする例にも共通点が見られます。
製品は皿、鉢、碗、向付類が中心を成しています。
鉄分を多く含んだ素地に技巧を凝らした各種の刷毛目技法が用いられ、
鉄釉、呉須、胆礬、白泥で空間美を意識した瀟洒な絵付けが施されています。
京の優雅風流を留めた現川焼は「九州の仁清」という名に相応しい妙趣ある美です。
伝世品は少ないですが、白、黄、緑、紫等の色釉で彩られた「現川三彩」も知られています。
終末期には僅かながら染付磁器も焼成されました。
最盛期には京都や大阪方面まで販売していたと伝えられますが、
延享年間(1744~48)の頃から極端な不景気に陥ったとされ、
1749(寛延2)年頃には廃窯となりました。
活動した期間も僅かで伝存する作品数も少ない事から「幻の古陶」として珍重されています。