柿右衛門色絵松島文輪花皿(江戸中期)

¥250,000

完成度の高い洗練された作行を示す柿右衛門様式の優品です。乳白色を呈した極上の濁手素地に鮮やかな彩色で松島文が描かれています。地紋に銀杏文が表現されており、縁紅が器を引き締めて余白と彩色をより際立たせています。肥前磁器の研究家・山下朔郎氏の審美眼を潜り抜けた由緒ある作品です。

在庫あり

時代江戸中期
17世紀後半
状態完品
重量302g
口径17.6cm
高さ2.9cm
底径11.9cm
次第山下朔郎 識箱
商品コード: 200902-2 商品カテゴリー:

説明

柿右衛門様式

柿右衛門様式とは延宝年間(1673~81)頃を中心に焼成された伊万里焼の様式です。
現在における「柿右衛門」の定義とは柿右衛門家のみで造られた独占的な作品ではなく、
V.O.C(オランダ東インド会社)からの大量注文を受けて、
肥前有田の窯々で輸出用に完成された作品群として「様式」の語句が付加されています。
絵師の手による余白を活かした繊細な絵付け、精緻を極めた作行を特徴とし、
優雅で気品高い柿右衛門様式は欧州の王侯貴族を魅了した高級花形商品として、
V.O.Cによって大量に積み出しされた磁器の中でも特に根強い人気を博しました。
更に「濁手」と呼ばれる純白色の温かみある柔和な素地は色絵の鮮麗さをより際立たせ、
以後のマイセンやシャンティイにおける欧州磁器の焼成に大きな影響を与えました。
尚、柿右衛門様式には「渦福」と呼ばれる銘款が入った作品が多く見られます。
デザイン化した「福」が渦を巻いたように見える事から呼び慣わされている名称です。
「金」、「古人」等の銘款は上手の精作に多く見られます。
江戸時代に輸出された古伊万里も豪華絢爛な美を示しましたが、
人々の目を引いて関心を集めているのはやはり柿右衛門様式の作品です。

肥前磁器 関連年表


濁手

最盛期の柿右衛門様式を代表する技法に濁手が知られています。
「濁し」とは佐賀地方の方言で「米の研ぎ汁」を意味し、
米の研ぎ汁のような温かみある乳白色の柿右衛門白磁を「濁手」や「乳白手」と呼びます。
通常の伊万里白磁や染付素地のように青味を帯びていない為、
色絵の美しさが鮮麗に映えます。
これは欧州への輸出向けに開発された技法で伊万里の歴史の中でも究極の至芸といえ、
柿右衛門様式における最高品質の白磁素地として確立されました。
余白を残しながら主文様を描く事で濁手素地と色彩美を調和した柿右衛門様式の作品は、
欧州の王侯貴族を魅了して根強い人気を博しました。
乳白手という表現は欧州人が形容した「ミルキーホワイト」の訳から生まれたとされます。
最初期の色絵は染付素地と同様のものを使用していましたが、
1650年代頃から色絵専用の素地開発が行われ、
試作期である故に素地の微鉄分や成形にも粗さが見られます。
典型的な濁手素地が完成するのは延宝年間(1673~81)に入ってからとされています。
濁手は染付との併用ができない性質から基本的に染付は入りません。
濁手の優品には染付の代わりに上絵具となる群青色が用いられました。
18世紀以降は磁器輸出の激減に加え、
濁手も衰退して江戸後期には途絶えてしまいます。
「濁手」の呼称はいつ頃から使用され始めたのかは判然としていませんが、
江戸時代の文献には見られない事からも近代以降の呼称と考えられています。