初音蒔絵香箱(明治時代)

¥1,000,000

贅の極みを尽くした超絶技巧の蒔絵香箱です。金高蒔絵、截金、梨地粉をふんだんに用い、採算を度外視した緻密な細工が展開されています。

在庫あり

時代明治時代
19世紀
状態良好
重量238g
12.6×10.2cm
高さ6.0cm
次第桐箱
商品コード: 200823-13 商品カテゴリー:

説明

初音蒔絵

初音蒔絵とは『源氏物語』にある「初音」帖を意匠化した蒔絵の総称です。
光源氏は新年の挨拶で娘である明石の姫君を訪れます。
そこでは女童や下女達がお庭先の築山の小松を曳いて遊んでいます。
身分が低い為に姫君の実母でありながら離れて数年経つ明石の御方から、
新春を祝う贈り物に和歌が添えてありました。
「年月を 松(待つ)に曳かれて ふる人に 今日鴬の 初音聞かせよ」
‐長い年月、ご成長を待ち年を重ねている人(母)に初のお便りを下さい‐
母として幼い我が子に会いたい切実さが感じられる和歌です。
国宝「初音の調度」は3代将軍・徳川家光の長女である千代姫が、
1639(寛永16)年に尾張藩2代藩主・徳川光友に嫁ぐ際に持参した婚礼調度品です。
最高の材料と蒔絵技術を尽くして彩られた豪華絢爛な源氏の世界は、
終日見ていても見飽きない事から「日暮らしの調度」とも呼ばれました。
武家にとっては婚礼こそ家を継続・繁栄させる最大の基盤であり、
娘の輿入れに際して持参する豪奢な婚礼調度品は娘が生まれた時点から職人へ発注し、
家格を示すものとして多大な費用や労力が惜しみなく投じられました。
家光公が明石の姫君のエピソードを愛娘に重ね合わせた心情が窺えます。


蒔絵

蒔絵とは漆器の表面に漆で絵文様等を描き、
乾かない間に金銀粉を蒔いては研ぎを繰り返して器面に定着させる漆芸技法です。
中国の戦国時代(紀元前403~紀元前221年)の遺跡からも発掘品が確認されており、
日本では奈良時代に創案されたと伝えられ、
平安時代に貴族社会の調度品や寺院内の装飾として発達を遂げました。
平安後期には螺鈿を併用する技法が盛んとなり、
鎌倉時代には平蒔絵や高蒔絵の技法が新たに生まれて基本的技法がほぼ完成します。
室町時代には研出蒔絵が生まれて高度に洗練され、
桃山時代には自由な意匠とシンプルな技法の大胆な表現で人気を博します。
江戸時代には繊細で絢爛な作品が西欧貴族の調度品として愛用され、
明治時代には意匠性の高い美術工芸品として芸術性を深めていきます。
各時代の上層階級の人々は生活用具を蒔絵で彩り、日常をより豊かなものとしていました。
蒔絵は「平蒔絵」、「高蒔絵」、「研出蒔絵」と大きく分類され、
螺鈿や截金等の技法が併用される事で作風に幅を魅せています。