柿右衛門様式色絵菊文雪輪形猪口

¥150,000

最高峰の技術が凝縮された盛期伊万里(柿右衛門様式)の秀逸品です。特筆すべき点は雪輪形を呈した鋭く厳しい造形にあり、雪が多く降る年は豊作の前兆として喜ばれ、その涼しい様相は厳しい夏にも好まれました。酒盃程の小さな作品ですが孤高の存在感を放っており、本質を追求して辿り着いた一つの到達点ともいえます。時代箱に入って10客無傷で伝世してきた様子から国内需要の懐石具として特別注文された作品とも考えられます。
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時代江戸中期(17世紀後半)
状態完品
口径7.4cm
高さ5.0cm
底径3.4cm
次第薬籠箱(桐箱)を作成します
元箱(時代箱)は希望によりお付けさせて頂きます
商品コード: 180903-6a 商品カテゴリー:

説明

柿右衛門様式

 柿右衛門様式とは延宝年間(1673~81)頃を中心に焼成された伊万里焼の様式です。
現在における「柿右衛門」の定義とは柿右衛門家のみで造られた独占的な作品ではなく、
V.O.C(オランダ東インド会社)からの大量注文を受けて、
肥前有田の窯々で輸出用に完成された作品群として「様式」の語句が付加されています。
絵師の手による余白を活かした繊細な絵付け・精緻を極めた作行を特徴とし、
優雅で気品高い柿右衛門様式は欧州の王侯貴族を魅了した高級花形商品として、
V.O.Cによって大量に積み出しされた磁器の中でも特に根強い人気を博しました。
更に「濁手」と呼ばれる純白色の温かみある柔和な素地は色絵の鮮麗さをより際立たせ、
以後のマイセンやシャンティーイにおける欧州磁器の焼成に大きな影響を与えました。
尚、柿右衛門様式には「渦福」と呼ばれる銘款が入った作品が多く見られます。
デザイン化した「福」が渦を巻いたように見える事から呼び慣わされている名称です。
「金」、「古人」等の銘款は上手の精作に多く見られます。
江戸時代に輸出された古伊万里は柿右衛門様式の数量を遥かに凌いでおりますが、
人々の目を引いて関心を集めているのはやはり柿右衛門様式の作品です。

肥前年表(柿右衛門様式)

素焼き技法の導入と技術発展

 延宝年間(1673~81)頃から生掛け焼成の制作ロスを防いで効率を図るべく、
「素焼き」技法が採り入れられるようになると、
素地強度や精巧さが付加されて品質を一定に保つ事が可能になりました。
この頃から匣鉢(ボシ)の使用が始まり、
窯内で灰や鉄分等の不純物の付着を防いで均一な温度で焼成する事が可能になりました。
匣鉢内に器物を置く際は目砂を撒くようになり畳付に粗い砂が付着する事も減少しました。
又、陶石の精製技術も格段に進歩して汚れとなる不純物をより除去できるようになります。
従って、白磁にとって最も必要不可欠な白い胎土が汚される事も少なくなりました。

濁手

 最盛期の柿右衛門様式を代表する技法に濁手が知られています。
「濁し」とは佐賀地方の方言で「米の研ぎ汁」を意味し、
米の研ぎ汁のような温かみある乳白色の柿右衛門白磁を「濁手」や「乳白手」と呼びます。
通常の伊万里白磁や染付素地のように青味を帯びていない為、
色絵の美しさが鮮麗に映えます。
これは欧州への輸出向けに開発された技法で伊万里の歴史の中でも究極の至芸といえ、
柿右衛門様式における最高品質の白磁素地として確立されました。
余白を残しながら主文様を描く事で濁手素地と色彩美を調和した柿右衛門様式の作品は、
欧州の王侯貴族を魅了して根強い人気を博しました。

絵文様の解説

 菊はキク科キク属の多年草で原産国は中国が知られています。
品種が多く、花色は白、黄、桃、紅等と様々にあり、長生きの薬と信じられていました。
中国では早くから観賞の対象とされ、日本にも奈良時代末期に中国から伝えられました。
その美しさを高潔な花として君子に例えた四君子(菊、蘭、竹、梅)にも含まれています。
君子とは徳が高くて品位の備わった人物を指します。
又、五友(菊、蘭、竹、梅、蓮)、三香(菊、蘭、水仙)の一つとしても知られています。
皇室の紋章(16の重弁)に採用される等、その美しさは高く評価されました。
菊水は流水に菊花が浮かんでいる様子を描いた日本人好みの意匠で、
南北朝時代の武将・楠木正成の家紋としても名高いです。
重陽・菊の節句(陰暦9月9日)に奈良時代より宮中で催された観菊の宴を菊(水)の宴といい、
盃に菊花を浮かべた菊酒を飲むと長生きするといわれました。